Acemoglu公式翻訳プロジェクト
Advertisement

アブストラクト[]

 OECD諸国の多くで所得と賃金の格差が急速に大きくなっている.本レポートでは,賃金・所得の格差の決定要因に関する研究をサーベイし,政策分析のフレームワークを提示する.焦点をおくのは人的資本政策だが,所得格差を減少させるこれ以外の政策も考察する.

 本レポートの結論は,OECD諸国で拡大した所得格差はより大きな賃金格差とより高度な技能プレミアムを反映したものであるということ,そして,技能プレミアムを上昇させた原因としてもっとも蓋然性の高いのは技能と教育への需要を増大させた技術変化であるということ,この2点である.ただし,たとえば最低賃金を定める法や労働組合による交渉の重要性といった労働市場制度の変化もまたなんらかの役割を果たしているらしい.たしかに技能の供給には有益な効果があるものの,格差を縮めるもっとも有効な政策は,賃金分配の頂点と底辺の間に横たわる技能のギャップをせばめることであろう.たとえば中等教育の質を改善したり,オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を振興するといったことがこれにあたる.


『人的資本政策と所得分配』もくじ







  • Part 6: 不平等を縮小する政策【finished】
    • 6.1 賃金圧縮 【finished】
    • 6.2 課税による再分配 【finished】
    • 6.3 人的資本政策
      • 6.3.1 高等教育助成の効果 【finished】
      • 6.3.2 収入調査に基づく高等教育助成 【finished】
      • 6.3.3 特に専攻分野を選別した学費免除と支援 【finished】
      • 6.3.4 教育ローンを利用しやすくする 【finished】
      • 6.3.5 中高校に向けた政策【finished】
      • 6.3.6 バウチャー【finished】
      • 6.3.7 オンザジョブトレーニングを推進する政策 【finished】
      • 6.3.8 「まず働け」政策【finished】
      • 6.3.9 就学前教育に向けた政策【finished】
    • 6.4 結論【finished】


 参照文献


クレジット

この翻訳の参加者は下記のとおりです(五十音順,敬称略):

・稲葉振一郎 ・okemos ・optical_frog ・平家 ・ラスカル ・山形浩生 ・WASSHOI

Advertisement