FANDOM



3.7 グループ内の不平等編集

ここまでに開発されたフレームワークは労働経済学者がグループ間不平等と呼ぶもの[の分析]にもっともよく適している。グループ間不平等とは、教育水準の高低など、異なる特徴を持つ労働者の間での賃金ギャップのことである。アメリカからの証拠は全体としての不平等の拡大の大半はグループ内の不平等の拡大、つまり同じような特徴をもった労働者の間での不平等の拡大によって説明されることを示唆している。

けれども、ここでのフレームワークはクループ内不平等について考えるためにも使うことができる。教育、年齢そして性別のような我々が観察することのできる労働者の特徴は、彼らのほんとうのスキルの不完全な指標でしかないからだ。このことを説明するために、ともに高い教育を受けているが、異なったモチベーションの為かそれとも異なった教育を行う別の学校に進学した為にか、異なるスキルのレベル、たとえば e_{H}e'_{H}、を持つ二人の労働者を考えよう。これらの違いは通常のデータセットには現れてこない。よってグループ内不平等はこういった観察できないスキルについての支払いを反映しているのだ。

さて、技術の変化のため、あるいはその他の理由のために、スキルプレミアム、ω、が上昇したと想像しよう。この変化はグループ間不平等の上昇を引き起こすだけでなく、上記の二人の労働者の間での所得ギャップも拡大させる。よって、このフレームワークの下では、グループ間不平等を引き起こすのと同じ力がグループ内不平等もまた引き起こすのだ。よってこのフレームワークはグループ内不平等の考察についても扱いやすいスタート地点である。ではあるが、アメリカの証拠はグループ内不平等を理解することはしばしばより厄介であることを示している。たとえば、グループ間不平等はアメリカにおいて1970年代には低下していたのに、グループ内不平等は拡大していたようだ(Juhn, Murphy and Pierce, 1993, Katz and Autor, 1999)。これは賃金分布の変化を分析するのにより適切なモデルは異なるスキルのタイプと異なる支払いを組み込んだものだということだ。このタイプのモデルは興味深いが、このレポートの範囲を超える。そして不平等の上昇の決定要因を理解するという目的からすると、そのモデルの有用性はここで展開されたシンプルなフレームワークとそれほど違いがあるわけではないのだ(アセモグル、2000、を見よ)。


3.8 結論編集

このセクションでは不平等の分析の為の通常のフレームワークの概略を述べた。このフレームワークは賃金不平等の決定的に重要な二つの要因をちゃんと分けて考えるいるのがその有用な点である。その二つの要因とは、労働者間でのスキルのギャップと、スキルの価格である。そして、それはまたスキルの価格をスキルの相対供給、技術それから貿易とリンクさせている。理論的な予測ができることに加えて、このフレームワークはこういった効果のいくつかの数量的な評価を行うことも可能にする。

この分野の文献全般、そして上での考察からの私の結論は、以下のようにまとめることができる:

  1. スキル偏向型の技術変化が賃金不平等の拡大の主要な要因であったようだ。
  2. 労働人口内での教育の普及あるいは移民の増加などによるスキルの相対供給の変化はスキル価格を変化させることができる。しかし、労働人口へ参入する新しい労働者の数は既存の労働者に比べて小さいので、こういった効果がその力を発揮するまでには長い時間がかかる。さらに、技術の選択と新しい生産方法の開発が内生的なとき、スキルの相対供給の変化はその反作用を持ちうる。スキルの価格へのスキルの相対供給の全般的なインパクトを大きく弱めることがあるのだ。
  3. 国際貿易もまたスキル価格の、よって所得不平等の決定的に重要な要因である。けれども、アメリカからの証拠は国際貿易の拡大が不平等の拡大へのもっとも大きい要因ではなかったことを示している。


よってこのフレームワークからの全般的な結論は、不平等と戦う為のもっとも効果的な方法は社会の中でのスキルの分布を変えることだろう、というものだ。

広告ブロッカーが検出されました。


広告収入で運営されている無料サイトWikiaでは、このたび広告ブロッカーをご利用の方向けの変更が加わりました。

広告ブロッカーが改変されている場合、Wikiaにアクセスしていただくことができなくなっています。カスタム広告ブロッカーを解除してご利用ください。

FANDOMでも見てみる

おまかせWiki