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(このパートの翻訳は WASSHOIさん が担当しました.)


Part 1: 要約 (Executive Summary)編集

所得と賃金の格差が多くのOECD諸国で急速に拡大している。このトレンドが、格差の拡大の原因と格差を減らせるかもしれない政策の研究に拍車をかけた。

 このレポートでは,賃金・所得格差の決定要因に関する文献をサーベイし,政策を分析するためのフレームワークを提示する.焦点をおくのは人的資本政策だが,所得格差を減少させるこれ以外の政策も考察する.

 この研究とフレームワークからの主な結論は以下のとおりである:


  • OECD諸国での所得の格差の拡大はこれまで以上に大きくなった賃金格差と高い技能の価格(技能プレミアム)の上昇を反映したものである。
  • アメリカにおいて技能プレミアムを上昇させた原因としてもっとも蓋然性の高いのは技能と教育への需要を増大させた技術変化である.ただし,たとえば最低賃金を定める法や労働組合による交渉の影響力といった労働市場制度の変化もなんらかの役割を果たしたらしい.
  • 過去20年間以上にわたってアメリカ経済全体に広がった多くの技術が、OECD諸国にも影響を与えている。このためニュージーランドを含む、これらの国々における格差のさらなる拡大を予想してもよいだろう。しかしながら、ニュージーランドでは既に格差は大幅に、そして急激に拡大したので、新しい技術へのほとんどの調整がすでに起きた可能性がある。
  • 国際貿易のさらなる開放は、格差を拡大しうるが、国際貿易それ自体は最近の所得分布拡大の主な原因ではなかったようだ。これは国際貿易を制限することが、格差を減らす効果的な政策ではなさそうだと示唆している。
  • 標準的な経済理論は技能の供給増加は技能プレミアムを減らすと示唆している。だから、ある経済における平均的な人的資本の増加は、不平等を減らしうる。それにもかかわらず、テクノロジーは技能供給の変化に調整されるので、相対的な技能供給の格差への影響は小さいであろう。さらに、技能供給を増加させる政策の影響はゆっくりにしかはたらかない。だから、人的資本の平均にだけ影響し、人的資本の分布を変えない政策は近い未来にほとんど効果を持たないだろう。
  • 概して言えば、格差を縮めるための人的資本政策は,所得分布の頂点にいるものと底辺にいるものの間に横たわる技能のギャップをせばめなければならない。
  • 使用者への教育のシグナル価値の変化と、労働市場におけるレントの分配の変化は、格差の拡大に寄与していただろうが、それらの影響はアメリカの場合は限られていたようだ。
  • アメリカでは、企業が作りだす仕事のタイプの変化(たとえば良い仕事が悪い仕事に置き換えられる)は、おそらく賃金分布の形を決めるのに重要だったであろうが、そのような変化は技術変化によって起こったようであるし、この変化は、稼得所得分布の頂点にいるものと底辺にいるものの技能差を埋めるのを最優先の政策とすべきことを示唆している。
  • 学校教育をうけることに対するさらなるリターンは、さらなる教育を促す予想されるかもしれない。そして、この経路を通じて、将来、不平等を減らせるかも知れない。しかし、技能価格への平均的な人的資本増加の影響は限られているので、そのような不平等の自動修正の特徴が、大きな影響を持つことはありそうにない。さらに、教育投資に対して学校教育リターンが強い影響を持つことを示す証拠はほとんどない。
  • 教育や訓練への投資はおそらく過少であろうから、人的資本政策は有益であろう。教育への過少投資の主な理由は貸付市場での障害である。それは、教育ローンを利用できる可能性を増やすのが有効であろうと示唆している。
  • 格差を減らすのにもっとも有効であろう人的資本政策は、技能分布の底辺に位置するものの技能を高めるものだ。それには、大学通学者の増加を促す政策より、中等教育(小学校と大学のあいだ)の質を高める政策だと思われる。
  • 大学教育に補助金を与える政策のなかで、大学に直接補助金を与えるものは大きなコストがかかるだろうし、また、そのような政策がなくてさえ子供を大学にやる家庭に補助金を出すことになってしまうだろう。そういうわけで、収入調査を経て与えられる補助金か必要度に応じた奨学金のような、特に低所得世帯にしぼった政策が、さらに効率的で、低コストで、財政的に逆進的でなさようだ。
  • (職業)訓練を奨励する政策は、稼得所得の分布の底辺にあるもののスキルの増大にとても有用でありうる。その政策で最も確実に訓練を奨励できそうなのは、訓練に対する補助金か税控除と存在する訓練プログラムの政府規制の組み合わせだ。
  • (職業)訓練への投資は企業と労働者間の契約問題にも影響される。記憶にとどめるべき重要な論点は、労働市場が非競争的なとき、企業は被雇用者の訓練のため相当な額の投資をするかもしれないということだ。そのような企業が支援する訓練があるなかでは、賃金圧縮は実際に訓練投資を増加させるかもしれない。
  • それがなければ労働市場からドロップアウトしたであろう個人の雇用を促す“まずは働け“政策もまた有効かもしれない。
  • 多くの経済学者が、最低賃金や手厚い失業給付などの、賃金圧縮を促す政策のディスインセンティブ効果を懸念しているにもかかわらず、節度ある量の賃金圧縮が大きな歪みをうみだす証拠はほとんどない。さらに、賃金圧縮は企業が被雇用者のスキルに投資するのを促すだろう。そういうわけで、そのような政策もまた賃金格差を制限するのに有効であろう。
  • 課税による再分配もまた税引き後所得での不平等を減らすのに非常に有効でありうるが、再分配税制を強化するまえに、高い税率が労働供給に与える影響と、移民として出て行く高稼得所得者の割合をもっと研究する必要がある。

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